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私立医学部の生徒は金持ちの家の子ばかりという話のついでに、学生駐車場は高級外車で埋め尽くされている・・・という話になることがあります。それは本当?でも学生ではなく、勤務医が外車に乗るのは別の理由もあります。激務の現実です。
私立医学部の学生駐車場は外車ばかり・・・?
都内の私立医学部の場合
私立医学部の学生専用駐車場というものが、そもそも東京都内またはその近郊の大学にはあるのでしょうか?
まず学生の乗っている車が何かがわかるのは、学生駐車場・・・のはず。でも都会はどこも土地代が高いので「学生専用」なんてあるのかどうか・・・。患者さんの駐車場を確保するのが精いっぱいで、常識的に考えてないですよね。
そうすると「学生専用駐車場」は、車がないと不便な立地条件の大学ということになります。つまり必需品という面を持つわけです。
大学生に車はゼイタク?
一般的な話ですが、大学生になると親族に車を買ってもらう人がいます。幸いなことに日本は車の値段はさほど高価ではありません。特に、中古車であれば、とてもいい状態のモノであっても手ごろな値段で手に入ります。それを維持するのはお金がかかりますけどね。
遊びに使うからというより、必要に迫られて。大学は敷地が広いので、辺鄙なところにあることもあります。しかも、公共交通機関が使いづらい。バスがあっても終バスが早かったりバス代が高かったり。それで受験前に、「受かったら買ってね。」と約束して受験することもあります。
私立医大生の場合
首都圏に住んでいる場合、基本的に大学生は車を持つ必要性をさほど感じません。そうでなくても、今の若い人たちは車に関心がなくて困る・・・、とディーラーの人がぼやいています。
ですから、何らかの理由で「車がほしい!」と思うかどうかですが・・・。
部活で必要、彼女とデートしたい、そんな理由でしょうか。私立の医大生だからと言って、車を持っている率は、他大生と変わらない気がします。みんな持っているとかそういう感じはありません。「車が好き!」買ってもらうのはそういう人たちです。
首都圏の大学は、自宅生が多いですから、必要な時に親から借りればいいだけの話ですし。
息子の友達はどうか?
さて、息子の友達はどうでしょうか?車を買ってもらった人は当然います。
息子の友だちが乗っているのは、400万円位の車からメルセデスベンツまでいろいろ。
「本当に買ってあげちゃう親がいるんだなあ・・・。」「20歳くらいでベンツってどう?」と思ったり。ただ、親が安全を考えた結果、ベンツに決めてしまったと聞きましたけど。
それで、息子も部活で遠征に行く時、友だちの車に乗せてもらったり、運転したり・・・。
そう運転!
息子が言っていました。「だから、僕が免許取って初めて運転したのはベンツなんだ♪」
この場合は、もともと親の車だったのを子ども(息子の友達)に譲ったものだったので新車ではありませんでした。でも、私としては人の車を傷つけないかととても心配。
「大丈夫、大丈夫。もし傷をつけてしまっても気にしなくてもいいって。もう友達ぶつけているし・・・。」
「いいえ、私は気にします!」学生の気楽さには、親ながら驚きます。「あなたが事故を起こしたら、私の保険を使うから。」と息子にはきちんと言っておきました。もちろん私は対応できる保険に入っています。そのための保険なのに、何を言っているのだと・・・。
と言っても、部活や友達同士で移動のために車が必要な場合は(各大学のグランドは、辺鄙なところにあったりするので)、会員になっているカーシェアリングを利用しています。皆で割り勘で。
別にそれで困りません。そもそも親に高い授業料を払ってもらっている者同士なんです。それ以上のことを親に求めるなんて非常識という分別は持ちます。
車通学が多い郊外の私立医学部の学生駐車場は?
あくまで推測ですが、都会であっても外車にのる学生はそれなりにいるのです。「車が好き!」という人たちです。
でも、それが必需品ということになったら、親としては安心できる車を買うはずです。または、親が乗っていた車を子どもに譲る、必然的に高級車になります。学生駐車場は高級車ばかりというのは本当でしょう。
学費に比べて、車の値段がさほど高価とも思わない・・・そんな心理も働きます。
医大(大学病院)の駐車場は外車が・・・
医大(大学病院)の駐車場?
「でも、医大の関係者駐車場は外車ばかりじゃない?」
これは学生のせいではありません。車の持ち主は、医者ですね。
医者は金持ちだから・・・?
勤務医ですから金持ちというほどではありません。・・・でも、外車が多いのは事実。
「国産車じゃ逆に目だちゃうよ。」と息子も言います。
でも、なぜそんなに外車に乗っているのでしょうか?
「お金を使う時間がないからでしょ?先輩見ていて思うけど、ほとんど休みもなくず~っと働いているよ。この前研修医になった先輩、もう連続60日勤務とか言っているし。そんな生活がずっと続いて、車しかお金かけるところがないから外車買っちゃうらしいよ。」
医師たちの長時間労働
最近は過労死が話題になるので、昔ほど無茶苦茶でないかもしれませんが、長時間労働でなくなる日は来ないでしょう。2週間位前の新聞記事にもありました。医者という仕事に「残業」という考えはそぐわないから「残業」代を払うというシステムを作ることに違和感があると、ある大病院のことが書かれていました。つまり、どんなに残業しても残業代は支払わないということです。
ちなみに教員もそうですけどね。わずかな手当があって、残業分についてはそこに含まれるとするわけです。
この手の仕事は、つまり24時間365日働く仕事ということです。医者の仕事は命を預かる仕事。納得のいくまでということになったら患者から目を離すことができません。
結果、医師は病院に缶詰めとなり、食事もコンビニで買ったようなものを口に入れる程度。
父が昨年入院していた時の、医師の様子です。午前外来、午後手術、夜(夜中?)は患者の家族に状況説明、夜勤・・・いつ家に帰って寝る??
昔息子が赤ちゃんだった時、小児科に1週間ほど入院した時も感じました。担当はまだ若い女医さん。とにかく、いつもいます。夜遅く私と話をしたはずの人が、次の日の朝も昼もいるわけです。
今なら勤務医はそういう働き方、つまり「夜勤明けにそのまま外来で診るわけね。」と思えますが・・・。医者の勤務実態を知らなかったので、私は???
容態が安定しない赤ちゃんを放っておけないから、何日も家に帰れない、または、ちょっと寝て着替えてくるとか、その繰り返しだったのだと思います。大きい病院は、命の危険にさらされている赤ちゃんがいっぱい入院しています。こんなに・・・。こんなにいるんだと心が痛くなりました。病棟で音がする様々な機械の電子音、そして、疲れ切った明け方の女医さんの様子、今でも思い出します。
貯まるお金
研修医は、普通のサラリーマン以下の給料でスタートするので、病院の近くに部屋を借りて生活するだけで終わるでしょうが、それを過ぎると、お金は貯まります。若いうちは、というか勤務医は特に高給ではありません。それでも貯蓄額は増えて行きます。
理由は、「使う暇がない!」
これは医者の世界の話だけではありません。かつて知り合いの新聞記者が同じことを言っていました。
「休みなんかどこにもなくて、使う暇ないから、給料をそのままにしていたんだよ。気が付いたら口座に1000万円あって。だから、外車を買っちゃった。」
一人前でない医者は激務で薄給
息子の高校の時の友達。何人かは、現役で一流大学に入学、単位をガンガン取りまくって途中1年間留学したのに、ちゃんと4年で卒業し、有名企業に就職。留学した国はいろいろですが、その要領の良さは何なんだろうと思っていました。
入社1年目の年収も「うらやまし~!」と思わず言ってしまうような額。
3年間一緒だった部活の仲間たちです。
息子は、医者になるまでにもその倍の時間をかけ(それで済むことを祈っています。)、激務で薄給。割の合わない生き方かもしれません。
開業医でなくても医者が外車に乗れるのは、激務の証拠。厳しい現実でもあるのです。
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