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『起立性調節障害』は中学生の10%程度に見られると言われる症状です。5年ほど前、朝起きることができなくて困っている女の子がいました。その子が「お医者さんに言われたんだけど、私が具合が悪いのは『起立性調節障害』のせいなんだって。」と教えてくれました。初めて聞く言葉でした。意識してからは、ポスター、新聞等で見かけるようになりました。不登校の大きな原因です。
朝起きれない女の子たち
実は、悩みを抱えていたのはこの子だけではありません。
普通に学校に行って、みんなと一緒に授業を受けたい、そう思っているのに自分ではどうにもならないのです。
いくつかの共通した「困った」体の状態とは
- 朝、起きることができない。だるくて体が動かない。
- 動作も遅いので、時間に合わせて行動することができない。
- 顔色がとても悪い。
- 歩くのもつらく、ふらふらと歩く。その場に座り込むこともある。
- 食欲がない。食べると吐き気がする。
- 突然気を失う。倒れたり、階段から落ちた経験がある。
- 昼間は大体ごろごろしている。体を起こしていることができない。
- 頭が働かず、ぼーっとしている。その間は何も考えることもできない。
- 頭痛を伴う場合がある。
- 午後になると少しマシになる。調子のよい日もある。
小中学生なら、最初に疑うのは、ゲームやメールのやりすぎで、昼夜逆転してしまっているということです。実際、こういう子はとても多いです。
そして、次には、何か心の中に大きな悩みがあるのでは?ということ。
でも、両方とも当てはまらないと言うのです。「なに?これは・・・」見方によっては、ただの怠け者にしか見えません。でも、普通に生活をしていた子が、気が付いたらそういうことになっています。
何もかももう嫌だ、学校なんかに行きたくないという反抗期を疑ったり、人間関係で悩み、誰にも会いたくない状態、つまり引きこもりの前兆かと想ったりと周りの大人は、子どもの変化に戸惑っていろんなことを考えてしまいます。
原因は考えてみるのだけれど、当てはまらない。多かれ少なかれ思春期ですから、悩みはあります。
ごろごろはともかくとして、失神はどう考えてもおかしい。歩き方も、もう本当につらそう。あの元気だった子が一体どうしてしまったのだろう・・・。
一方で、顔色の良い日もあるのです。楽しそうに家族や友達と会話し、笑っています。心に大きな悩みを抱えている子がこんなに穏やかな表情はしない・・・。そうなんですよね。
病気?何科へ連れて行けばいいの?
これは病気?病院に連れて行けば治るの?何かへ連れて行くの?連れて行ったところで、これをどう説明すればいいの?
迷ったら、小児科です。高校生くらいまでは迷ったら小児科。田舎の場合は、小児科なのか何なのかよくわからず近くの医者に行く場合も多いですし。
こんなに大きくなって小児科?と躊躇してしまうかもしれませんが、気にしない。そして、今起きていることを全部言う。今までと違って、困っていること話す。親の「勘」は、とても大切だと思っています。なんか違う・・・そういうところを伝えます。
困っている子がいたら、とにかく一度受診
実際は、病院に連れていくまでに大きな葛藤が起きていることも少なくありません。
病気じゃないでしょ?子育ての問題でしょう?と問題がすり替わっている場合もあります。それは違うと親自身が理解するきっかけにもなります。受診は大切です。と似たような症状の別の病気ということもあります。
子どもは困っている。そのままにはしておけません。
「起立性調節障害(OD)」ということ
「起立性調節障害」を知るまでは、本当に訳が分かりませんでした。血液を流す自律神経系のアンバランスで起きる障害(詳しくは日本小児心身医学会のホームページをご覧ください。)、そう知るだけで、子どもとの接し方が変わります。
「授業中に寝ていると思われて起こされたこともあるよ。」
とても行儀のいい子なのに、自分ではどうにもならず、机に突っ伏してしまったり、そうでなくても体がだるすぎて頭が下を向いてしまったり。一見、寝ているように見えます。先生からは、姿勢を良くして!と注意されても、その姿勢を維持できない。
自分はなんてダメな人なんだろうと思い出すと、この症状はさらにつらいものになります。まわりに理解されにくいどころか、自分でもよくわからないのですから。
そして、心にも影響します。これが厄介だと思うのは、「起立性調節障害」によって人間関係が微妙になってしまうこと。よりによって、思春期・・・。
女の子同士の関係にヒビ、親子関係にも
徐々に朝部活に来なくなったり、待ち合わせの時間に来なかったり、すっぽかしたり。さらに、反応が薄く、話を聞いていなかったりして人間関係がうまくいかなくなってしまう様子をいっぱい見てきました。特に、中学生の女子はこういうことに対して厳しい傾向があります。だから、人間関係に悩む。それが症状を悪化させているいる場合もあると思うのです。
親子間でもそうです。いつもぐうたらしているように見えるので、始めはイラっとしてしまうようです。
柔軟な対応が求められています
自律神経の働きが良くなるのか、多くの場合やがて軽快する日がやって来ます。とはいえ、子どもたちを見ているとそれまでには数年かかるようです。でもその間も学校に行かなければ「不登校」。勉強も心配です。
方法としては、中学校までは、体が動く午後の一定時間だけ中学校へ行って、学習して帰る。そんな生活でなんとか乗りきって行く。行き帰りの体の状態が心配なので、送り迎えは必須になります。
高校は、入学した高校次第です。全日制に行っている場合、授業の欠席が多くなってきた段階で、単位を取るのは不可能と判断され、通信制への編入学を勧められるケースがほとんどです。
でも、どうしても全日制を卒業したいと思う生徒用に、すべての授業に少しずつ出席するという形で学習を続けさせてくれるところもあります。何とか出られそうと思える間授業に出て、無理と思ったら教室から出て、あらかじめ決められた部屋または保健室へ行く。それを繰り返すのです。
体の調子が悪いと、心の調子も悪くなります。その長い時間をどう応援していくか。まずは、中学生の10人に1人(女性が多いですが、もちろん男性も)に症状があると言われる「起立性調節障害」を理解することろからです。
