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(2017-06-22更新)
教室長は、結局経営者?教育者?転職活動を通して、思いがけなく民間の教育業界のことがわかってきました。
何と言っても塾のマネジメント側の人と話す機会を持てたところが大きいです。しかも、アルバイトはなく正社員の求人なので、いろいろな事情を聴くことができました。さて、夏期講習の季節。さらのおすすめは・・・。
塾の授業料から見えること・・・広告をチェック!
手元に、新聞広告として入ってきたA塾の広告があります。
中学3年生を例に挙げます。
- 1回90分授業。
- 1カ月4回で12,000円(税別)。1回あたり3,000円。
90分3000円です。あれ?個別指導なのにそれほど高くない?
ここで、気を付けないといけないのは、A塾では、個別指導といっても1人に1人のに先生がつくわけではないということです。
机(ブース)は1人に1つですが、3~4人に1人の先生が付きます。個々の生徒が自分のペースで学習を進めていくので、先生はアドバイス役です。そういう形態でない限り、この価格はあり得ません。
A塾 1グループ(1人の先生につく生徒を仮に1グループとして)あたりの金額
- 1回90分授業
- 1カ月4回で収入は9000~12,000円×4回
- 講師の給料1500~2000円
さらに、もう1枚広告があります。こちらは1対1。
B塾 生徒1人に先生1人
- 1回90分授業
- 1カ月4回で24,000円。1回あたり6,000円。
- 講師の給料1700~2200円
人件費を考えると妥当な線です。塾として効率がいいのは・・・A塾ですね。ただし、上手に生徒と講師をコーディネートできたら、という前提で。教室長の腕の見せ所になります。
もし、その組み合わせに失敗して、1:1になってしまったら、B塾のほうが良いということになりかねません。
教室長のすること
教室長は、当たり前ですが、塾を経営していく力量が必要です。失敗すれば、つぶれますから。
だから、日々考えなければなりません。
- 塾を維持していくためには、〇〇〇万円の売り上げが必要と試算
- 何年生の生徒を何人を集め、1人平均何コマ授業を入れるか。
- 塾講師は何人雇い、どう効率よく回すか。
- 広報活動はどうするか。
などなど、企画するだけでなく即実行しなければならないので大忙しです。
難しいのは、教育する仕事でありながら、その子に本当に必要な学習かどうかという検討は、二の次になってしまわないかという懸念です(第3者から見て)。
教室長全員がそうかというと、当然そうでない人もいます。でも、一般的にやり手とされる人は、生徒を集められる人、売り上げを伸ばせる人です。
一番良いのは、素晴らしい授業をすることで生徒の成績を上げ、それが評判になって自然と生徒が集まってくる。そして授業をいっぱい受けてくれるという形。
でも、教育は、多くの場合はっきりと目に見える形ですぐに結果が出るというものではありません。お金をかけたからといって、リターンがすぐあるわけではないのです。
それでも売るのがきっと「腕」なのでしょう。
売れば売るほど子どものためになる?
一般論として、勉強時間が長いのは悪いことではありません。
ただ、それを塾でやろうとすると、お金の話を抜きには語れません。大金がかかるからです。
でも、その時間、確かに勉強するのなら、力が付くのなら・・・。勧められるうちに、次第にお金出そうかなと思う親御さんの気持ち。わかります。実際、嘘ではないところが、教育業界の微妙な部分です。
大きなお金が動く夏期講習
ところで、学生講師も十分に確保でき、たくさん指導ができる(コマが売れる)夏期講習期間。
生徒はどの位勉強するのが良いのでしょうか?
生徒によっては、個別指導塾の場合、100コマ(30万円!)勧められるのは日常茶飯事です。
全国的に、夏休みは少なくなってきています。集団塾の夏期講習が、できるだけ大勢が参加できるようにと10日~2週間程度で組まざるを得なかったとしても、個別指導塾は個々にスケジュールを組むことができるので、30~40日間あれば100コマも可能です。
集団塾は、それに比べるとリーズナブル。組み合わせによりますが、5万円とか10万円とか・・・。授業の組み合わせによって全然違いますので、一概には言えませんが、10万円以内というのが多いでしょうね(地方での話です)。
さて、その料金。正直、高いのか安いのか・・・
塾や予備校の料金設定。今まで私自身、親にいっぱい払ってもらって、さらに、子どもの教育で私もいっぱい払ってきて思うのですが、よくわかりません。
ネットで質問しても、料金が高いとかそうでもないとかで決着は付かないでしょう。
評判の良い塾は、評判の指導方法や優れた講師がいるので、人件費などお金がかかっているはずです。だから料金が高いのは仕方のないことです。
公教育はただなのに?その代わり、税金から膨大な金額が流れています。お金がかかっていない教育はありません。
予備校の料金も本当に魅力的な講座イコール高額所得の講師を起用ですからやっぱり高額ですよね。
だから?
私 さら の夏期講習についてのご提案
- お子さんは自分の力でやれるのではないですか?でも、計画と毎日のチェックは親の仕事です。
- お父さんお母さん、意を決して、自分でお子さんの勉強見てみませんか?お金のことを考えるならこれが一番です。ここで面倒くさいなんて言わないで。家でゴロゴロさせないノウハウは必要です。夏休み中これができたら、間違いなく力が付きますよ。
- 夏期講習のコマ数(授業数)を少なくしてもいいんじゃないですか?塾に遠慮はいりません。ただ、塾での学習量は減りますから、家でも見てあげてください。
- お金があってお子さんがやる気なら、目いっぱいコマ数を入れる。そういう選択もありです。夏休み中、冷房のきいた部屋で、ずっと講師に勉強を見てもらうなんて贅沢なことだと思いませんか?
教室長は教育者?経営者?
結局、塾講師と教室長の決定的な違いは何か?
経営者の視点があるかないかです。
経営者になったらすること。それは、利益を出すこと。そのためにはとにかく売るための手法を考えださなければなりません。売るものは、個別指導塾ならば、もちろん最大収入源は授業。1コマいくらで、何コマ売るか。
それを考えると、教室長は、教育学部卒とか、教員免許を持っているとか、そういうことはほとんど意味がありません。
私は、今回の転職活動で、何人もの塾を経営する会社の社長や幹部に会いました。その方たちには共通点がありました。実際に聞いてみたんです、皆さんに。
そうしたら、この業界に入ったきっかけは、先生になりたいと思ったというより、事業をやりたいと思ったことのほうが大きいと答えた人がほとんどだったいうことでした。
ただ、教室長のこの業界に入るきっかけがどうであろうと、正直大きな問題ではありません。生徒から、または生徒の親からすると、塾に行って成績が上がるかどうかのほうが大きな関心ごとですから。
何の事業にしようかと悩んで、塾をやってみようと思った。一生懸命やっていたら、どんどん生徒がきた、そう言っていた経営者がいました。
つまり、どんどん生徒がくるような魅力的な指導をしたのです。そして、生徒に力をつけたのです。この場合、経営者でありながら、教育者なんです。尊敬するばかりです。
さらの転職 困った・・・
いろいろわかり始め、自分の中に迷いが出てくるのがはっきりとわかりました。
過去に教育関連の民間企業で働いていた経験もあるし、塾講師の経験もありました。実際、面接を通して感じたのは、直近の仕事だけでなく、過去の仕事に関心を持たれたということです。。
不思議なこともありました。経歴から受験指導ができることはわかるはずなのにほとんど興味を持たれなかったことです。偏差値の高い高校、大学に受からせるためのノウハウは必要ないのでしょうか?
どこの学校に受からせるという実績よりも、どれだけコマ数を売れるかの方がやはり大切なのでしょうか・・・