SNSで国語力低下?高校時代に「書く力」を付ける!

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高校入試「国語」では、120字で答える問題は珍しくありません。だから、特別な練習をする人は、ごくわずか。そして、そのまま高校入学後は読書もせず、SNSの世界にどっぷり、短文ワールドへ。気が付けば長文を書く習慣がなくなっていた・・・。そうならないためにできる対策とは。

「今年の中学3年生が高校3年生になった時、共通テストの国語で120字の問題が出るよ!」反応は?

「120字なら高校入試とあまり変わりがないじゃん。」ですよね。

なぜなら、高校入学のための選抜で、この字数に近いか、もっと長い問題がすでに公立高校入試では定番だからです。だから、中学生はなぜ大学のテストでこれが大騒ぎになっているのだろうと理解できません。

実際、高校入試の「国語」は、記号問題と記述式問題が、程よく配分されていて、どちらが重視とか言えるような問題ではありません。国立工業高等専門学校の入試は、近年マークシート式に変更されましたが、一般の公立高校の入試は、言ってみれば、マークシート式(記号式)と記述式のミックス型です。

では、なぜ、そういう練習をしてきた生徒が、大学入試で困ってしまうのでしょうか?

鈴木寛教授の話―ラジオ番組で― 高校生の学力低下の原因とは

文科省が高校生の学力低下を問題視しているというのは、下の文を読むとわかります。 ラジオでの話ですが、話をしている鈴木寛教授は、教育改革推進の中心メンバーです。

ここまでの話は、小中学校の子どもたちの学力は国際的に見て高いことがわかっていて、その原因の一つが小中学校の読書量が増えたことにあると言っています。一方で、高校生の学力不足が問題になっていて、それは・・・

高校生で言うと、先ほどの読書では突然不読者の比率が48.7パーセント、5割程度まで上がってしまうのがとても問題です。

その原因の一つに考えられるのは、SNSソーシャルネットワークサービスです。これは、ものすごく単文、ほとんど単語ですよね。場合によれば、絵文字によるコミュニケーションというものです。高校生の間に蔓延をしていまして、長い文章書くということがほとんどなくなってきています。

それから学校教育の現場でも、大学入学試験でマークシート試験が非常に多いので、結局はそのための勉強に多くの時間を割くということになっています。もちろん個別の大学では二次試験で相当な論文力論述力を問う大学もありますけれども1割程度なので、残りの9割の大学を受ける受験生は文章力を磨くということに時間を割かずに、知識を覚えるということにエネルギーを割いているという現状があります。

そういうこともあって、文部科学省が今考えている大学入試改革というのは、書く力を問うことによって高校の学び、もう少し「読む」「書く」で思考力、判断力、表現力というものを磨いてもらうために、2020年から導入予定の大学入学希望者テストではマークシートに加えて記述式を追加します。

20世紀型の学力を身につけた次の世代の子供たちは結局AIが入ってきたときに仕事を失ってしまう、あるいはAI時代に自分たちが活躍できる仕事場がないという最大のリスクを子供たちに結局は背負わせてしまうことになってしまうということなんですね。それを是非みなさん理解していただきたい。

NHKラジオ「社会の見方・私の視点(平成28年4月放送)・人工知能時代の教育改革」鈴木寛東京大学教授慶應義塾大学教授、文部科学大臣補佐官(元文部科学副大臣)

このままでは人工知能時代に活躍できない人になる?!

鈴木教授が、問題として提示したのは、

  1. 高校生になると本を読まなくなってしまうこと。
  2. SNSで短文しか作らないので「書く」力が付かないこと
  3. 受験で必要ないから「書く」練習をしないこと。

3年間、このようなことを続けると、中学校卒業時から、それほど能力が伸びて行かないことが想像できます。

けれども、時代はそれを許しません。今は、そんなに簡単な状況ではないのです。

その一つ。人工知能の問題です。鈴木教授の話、または、中教審の発表では、来るべき人工知能時代に向けて、人を教育していかなければ、人の活躍が期待できなくなるということです。

もう映画の中の話ではない

人工知能を題材にした映画は数多くあります。まだ先の話でしょ?でもいつかは来るはず。という微妙な感じで、でもあくまで娯楽作品として楽しんできました。

でも、今はもう笑ってはいられません。これからの子どもたちは、「書く力」を付ける過程で、思考力、判断力、表現力を付け、どんな困難にも立ち向かっていける人間になっていかなければならないのです。

この流れに乗り遅れるとどうなるか?

鈴木教授のような立場、そして、日本の学校教育を動かす中央教育審議会の文書でも、もはや普通に人工知能の話が出てきます。

これは現実です。

例えば、先日マイクロソフトが通訳機能を備えた発表用のパワーポイントを開発したとニュースになっていました。さて、これが完成すれば、職を失うのは?

単純に予想すると、会議の通訳者です。膨大な時間と経験を経て実績を積んできたはずの通訳者が、雇われなくなると思われます。そういうことがあちらこちらで起きてくるわけです。

仮に就職できていたとしても、気が付いたら人工知能に自分の仕事を奪われ、意に沿わない部署に配置換え、なんて日常茶飯事になるでしょう。それでも、新たな仕事に乗り換えてやっていくバイタリティーや、柔軟な思考力があれば何とか生き残れるかも。

されど「書く力」

「書く力」は「国語」の領域と捉える人が多いでしょうが、「書く」行為というのは、未来の人間の力の根幹になる力(それは学力の3要素によって得られる力)です。たかがと思わず、丁寧に力を付けたいものです。

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